ハロン湾で養殖のアコヤ真珠
ツアー・ガイドの指す
ハロン湾全景の地図の横には
日本人の「御木本幸吉」の白黒写真が
飾られている。
19世紀、
二枚貝の貝殻から作られた核と
貝の外套膜の特定部位を
外科手術的に
貝の体内に移植することで
人工的に真珠を生産する技術を
生み出したのが、
現在、銀座4丁目に本店を構える
MIKIMOTOの創業者「御木本幸吉」だ。
ハロン湾クルーズに向かう途中に
立ち寄った
観光客向けの真珠販売店。
えっ?
ハロン湾で真珠養殖???
よくありがちな
観光ツアーで
連れて行かれるお土産物店よりも
ずっと興味深い。
かつて、
日本には「真珠養殖事業法」という法律に則り、
①養殖真珠技術の非公開
②海外で養殖された真珠は日本への持ち帰り
③海外での真珠養殖の場合、使用する母貝や、生産量の許可制
といった「海外真珠養殖3原則」に加え、
海外でのアコヤ真珠養殖の禁止という
大変厳しい水産省からの通達があった。
が、1970年代頃から、
日本の真珠養殖技術が海外に流出し始めたという。
こうして、現在、
海外で養殖されているアコヤ真珠は
中国、UAE,そしてベトナムの3カ国。
ベトナムでも
真珠養殖が
産業のひとつとして根付いたようだ。
南はフーコック・アイランド、
そして北はハロン・ベイで養殖されている。
バブル期以降、
アコヤ貝の大量死から
養殖技術の海外移転が顕著となり、
日本での真珠養殖は
減少している、
とジュエリー・ショップを経営する
友人から聞いたことを
思い出した。
「世界中の女性を真珠で飾りたい」
という真珠王・御木本幸吉の大志が、
世界遺産であるハロン湾で
テイク・オーバーされているように
感じられた
観光ツアーの一コマだった。
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