花道横での千穐楽
本日は千穐楽。
恒例の母と歌舞伎座、
秋晴れである。
「沼津」がいいのよ!
と母は昼の部を指定した。
私が予約係。
夜の部の「勧進帳」も
いいのになぁ、
と思いつつ、
昼の部を予約した。
確かに、
昼の部の見どころは、
三世中村歌六百回忌追善狂言として
上演される「沼津」。
九月の秀山祭と言えば、
一年を通し、
最も本格的な歌舞伎を
見せるものとされ、
また、
中村吉右衛門さんと言えば、
歌舞伎界を先頭する
大者役者として知られている。
つい、一週間前、
中村吉右衛門さんが
体調不良のため
代役が数日続いていた。
先月、
「役者根性をお見せしたい」
と取材に応じていた吉右衛門さんは
無念だったに違いない。
3日の休養を経て
中村吉右衛門さんは
無事、復帰していた。
「秀山祭」は、
吉右衛門の養父にあたる
初代中村吉右衛門の功績を顕彰し、
その芸を継承することを
目的とした
興行であるからにして、
中村吉右衛門さんの思いは
強いに違いない。
75歳の中村吉右衛門さんが
一週間前、
40度以上の熱に
うなされていたとは
何かの間違いだろう、
と思わせるほどの
堂々たる演技は、
今回の座席が
花道の横だったため
間近に拝見でき、
母とともに愉しんだ。
また、
笑いをとる
舞台での歌六さんとの
口上は、
千穐楽だったためか?
舞台がなお一層
生きたものになった。
毎月恒例の
母との歌舞伎観劇。
いつまで続くかなぁ、
紅葉の柄の
緞帳になり、
隣で美味しそうにお弁当を
食べている母を横に、
秋の気配を感じた。
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